ようやく春。

今年の冬は長かったですね。ようやくせせらぎの桜も満開です。

新年度あけましておめでとうございます。今年度もよろしくお願い申し上げます。

 

吉野山のように桜霞が立ち込め、つねにもやもや瞑想中のわが頭ですが、

やはり滝廉太郎の名曲のごとく、春のうららの~と足どり軽くお日さまを仰ぎ、

春高楼の~と花月を眺めて喉を潤す、そんなうらうらとした1日はこの季節でないと味わえません。

 

今年は、念願かなってうらうらとした1日を屋形船の上で過ごすことになりました。

初めての乗船でドキドキしましたが、墨堤の桜に揚げたての天ぷらとお酒。最高ですね。

ただ、ちょっと風が強くて船がいい具合に揺れました。

しまいには酒と船のどちらに酔っているのか、いささか不明瞭な感じで

のぼりくだりの船人たちと手を振りながら、約2時間半の航行終了。

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名にし負はばいざこととはむ都鳥 わが思う人はありやなしやと

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子どもやお年寄りが「ほらよっ」と投げた餌を空中でキャッチする美技は

かなりの手練れとお見受けしました。花より団子。やるな、都鳥!

 

下船後は、ふらふらと東京駅までお散歩です。

お江戸日本橋では、今年公開された映画に登場した

中央の麒麟像をバックに 写真を撮る方がおいででした。橋のたもとの桜も美しかったです。

 

日本人は桜が好き、というか。

現代人の心も

知らず、満開よりも桜の散り際を惜しむように仕組まれているような気がします。

ま、この散りゆく桜への思慕が多くの文学につながるわけですが...

自宅の本棚に『隅田川の文学』(久保田淳 岩波書店 1996)がありました。

人々を支えたこの川を、文学にどう登場するか...おもしろい本です。

 

近頃の花見の喧騒はあまり好みませんが、

はるか昔に想いを馳せながら桜の木の下に立ってみるのもよいかもしれません。

「はて、この桜はことに美しい。なぜだろう」と思ったら、

梶井基次郎先生に聞くとよいかもしれません。もしかしたら桜の下には...

 

                                    【きら】